前福島県知事有罪も不自然な賄賂認定額
前福島県知事有罪も不自然な賄賂認定額
■認定した事実
佐藤前知事は、00年に県が発注したダム工事を前田建設工業が共同企業体として受注できるよう便宜を図った。2年後、その見返りに、実弟が経営する縫製会社の所有地を、前田建設の指示を受けた水谷建設に約8億7千万円で買い取らせた。前知事らはこの土地売買で、時価との差額約7千万円をわいろとして受け取った。
http://www.asahi.com/national/update/0808/TKY200808080074.html
土地代金8億7千万円のうち7000万円が賄賂分の上乗せだったという。
持ち家を売り買いし、あるいは売り買いしようとして調査した経験がある人ならこの数字の不自然さにすぐ気づくだろう。
そもそも不動産というものには同じ物件が2つ存在し得ない。
まとめて開発された住宅地の区画ですら、接道など微妙な位置関係によって価格差があるし、まとまった土地は面積比例以上に高く取引される。
近隣の似たような土地で価格が2割や3割違うことなど珍しくはない。
したがって、鑑定士のような専門家であっても総額の1割以下という僅かな部分を不当な額として正確に言い当てるなど到底不可能なはずだ。
まして福島県には経済活動の活発な大都市が全く存在しないから比較対象となる土地売買事例が少なく、一層評価が困難だ。
即ち真に賄賂相当額が7000万円だけだったなら、土地代に紛れてしまって有罪認定は不可能だったはずだ。
つまり、この取引の実態は相場の二倍といった法外な価格で行われ、検察としてはぎりぎり立証できる範囲としてまけにまけて1億7000万円が賄賂分と主張したものの、裁判でさらに大きく値切られてしまったということだったはずだ。
例えば実は4億円が賄賂だったのに7千万円しか認定されなかったわけだ。
現行法で追徴金は賄賂認定額と同額と決められているから、結局のところ被告らの手元に利益が残ってしまうのである。
しかも本判決では懲役について執行猶予が付けられているから、実質被告らが失ったのはそれ自体はたいした高給でもない知事のイスと名誉だけである。
この不景気な時代には2億円のためなら名誉なんか簡単に捨てられる人はたくさんいる。
つまり有罪認定とは言ってもこの裁判は同様な権力犯罪に対する抑止力として全く機能していない。
追徴金制度が改められない限り汚職は無くならない。
即ち、賄賂認定額だけでなく、談合によって公共が受けた損失や(もし居たのなら)まっとうな仕事をしていた業者が受けた損失をも総合的に評価し、なおかつ誰の目にも汚職が割に合わない水準をも考慮して追徴金が決定される制度にすべきなのだ。
この種の事件報道に接するたびに思うことは、200万円かそこらの賄賂で死刑もあり得る中国が羨ましいということだ。
但し、中国の汚職の多さはまったく羨ましくないが。
[ written by pinksaturn ]
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